NHK宇都宮FM 平成16年3月17日(水) 午前11時31分〜11時34分 放送 とちぎサテライト情報局 とちぎ環境キャンペーン (放送内容) 「日光杉並木と私たち」 栃木県林業センター 野 澤 彰 夫 |
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日光杉並木は、私たちにとって親しみのある巨樹・巨木かと思われます。 日光の二社一寺は、世界遺産に登録されていますが、日光へ行く途中に、多くの方々は杉並木の中を通ったことが、何度もあるのではないでしょうか。 日光杉並木は、総延長が37kmにも及び、今なお13,000本近くが現存しています。国の特別史跡と特別天然記念物に二重に指定され、ギネスブックにも登録されています。これらは、人工的に植栽されたもので、古いものでは樹齢370年を越え、最も大きなものは太さ2m以上、高さ40m以上もある巨木です。 江戸時代には非常に大切にされたと思われます。しかし、明治期以降、大幅な道路改修などにより全体的に衰弱してきており、近年では、平均すると1年に100本近くずつ数が減っています。 衰弱の原因はいろいろありますが、最も大きな原因は、巨大な樹体に対して枝葉や根を張るスペースが非常に狭いことです。特に、根が張る地中のスペースは狭められています。 これらの弱った樹勢(いわゆる木の勢い)を回復させるため、現在、樹勢回復事業を行っています。 スギが根を張るには柔らかい土が必要ですが、踏み固められたり、車道になったりしていては、健全な根を張ることが出来ません。根の張るスペースを最大限に確保するためには、並木内の道路を掘り上げて、良質土を客土し、車両などの通行を禁止するのが良いのです。しかし、現実的には不可能です。 そこで、スペースを少しでも増やすため、並木内の道路の端の削られた部分に木の柵を作り、良質の客土をしています。また、さらに進んだ方法として、道路を掘り上げて、中が空洞のコンクリートブロックを置き、その中と周囲に客土し、その上に車道を作る「中空コンクリートブロック工法」も一部で実施しました。 これらの対策を推進するため、栃木県では、杉並木保護財団を設立しており、並木杉のオーナー制度やボランティア活動なども実施しています。 私たちに親しみ深い日光杉並木を守り、後世へ残すため、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。 |
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