NHK宇都宮FM   平成16年3月3日(水) 午前11時34分〜11時37分 放送

とちぎサテライト情報局

  とちぎ環境キャンペーン    (放送内容)

 「環境にも人にも優しい森林・木材」

                                栃木県林業センター  野 澤 彰 夫
 
 栃木県の森林は、県土面積の約55%を占めていますが、これらの森林は非常に多様な働きをしています。
 雨水を土の中に貯えて、ゆっくり流して、洪水や渇水などを緩和し、水質を浄化する「水源かん養機能」や、表面の土の侵食を防いだり、山崩れや雪崩などを防ぐ「山地災害防止機能」は、よく知られています。その外にも、野生動植物の生息環境を守ったり、湿度や気温の変化を緩和したり、保健休養の場となるなど、非常に多くの公益的機能を果たしています。
 さらに、もう一つ大きな働きとして、木材を生産する機能があります。これは二酸化炭素を吸収して酸素を供給し、炭素を固定する働きです。裏を返せば、地球温暖化防止機能という公益的機能ともいえるものです。
 このように森林は、地球環境を保全することにより、人間の生活環境を守る働きをしていますが、そこから生産される木材についてはどうでしょう。
 木材は、アルミニウムや鉄、プラスチックなどに比べて、製造・加工に要する消費エネルギーが少なく、二酸化炭素を固定・貯蔵しており、再利用もしやすく、燃料として利用すれば化石燃料の消費を抑制することとなり、廃棄しても有害物質の発生があまりないなど、地球環境に優しい材料といえます。
 また、住宅の内装材として用いると、湿度調整機能が高く、匂い物質がダニやバクテリアの増殖を抑制し、熱伝導率が低いため保温性が高く、さらに、衝撃を和らげる効果も良好で、光の反射も目に優しいなど、人に優しい材料といえます。
 ある調査によると、木材が多く使われている場合、インフルエンザや転んで骨折する人、不眠などの発生率が低いという結果が出ています。また、マウスの実験で、木製の飼育箱は、金属やコンクリートより、生存率や体重の増加が高い結果となっています。
 これらのことから、木材は、人と環境に優しい材料といえます。
 木材の利用が、人に優しいだけでなく、たくさん長く使えば、地球温暖化防止に貢献し、森林の適切な手入れを促進することになり、公益的機能をも高めることとなるでしょう。 
 
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