NHK宇都宮FM   平成16年3月10日(水) 午前11時36分〜11時39分 放送

とちぎサテライト情報局

  とちぎ環境キャンペーン    (放送内容)

 「森林の地球温暖化防止機能」

                                栃木県林業センター  野 澤 彰 夫
 
 森林には地球温暖化防止機能があります。
 一般の方の中には、森林が二酸化炭素を吸収して、炭素を固定し、樹木の体として森林内に貯蔵しているので、樹木は切らないで、できれば原生林のように保護するのが、温暖化防止に最もよいと考えている方がいるのではないでしょうか。
 実は、そうとばかりは言えません。
 若い森林が成長して、成熟した森林になると、貯蔵量は最大になります。しかし、さらに老熟すると、枯れたりして分解・放出される二酸化炭素量が増加し、吸収される量と等しくなり、貯蔵量がほぼ一定となって、ほとんど増加しなくなります。
 温暖化防止機能を最大限に発揮させるためには、二酸化炭素を出来るだけ多く吸収させ続けなければなりません。そのためには、適切な手入れをして、適度に育ったところで、蓄積された木材を伐り出して貯蔵するとともに、伐採跡には新たに植林をして、再度森林を育成するということを繰り返すのが最も効果的です。
 一方、伐り出した木材は、燃やしたり腐らせたりすると、また、二酸化炭素に戻ってしまうので、出来るだけ長期間、木材のまま利用します。木造住宅などは炭素の貯蔵庫の役割を果たします。
 さらに、材料として、アルミニウムや鉄、プラスチックなどは製造工程で多くのエネルギーを必要としますが、木材は桁違いに少ないエネルギーで加工が出来ます。外の材料から、エネルギー消費の少ない木材に変えて使えば、エネルギー消費を抑え、二酸化炭素発生を少なくすることが出来るので、温暖化防止に大きな効果があります。
 また、廃棄物となっても、有害物質の発生がほとんどなく、発生した二酸化炭素は、新たな植林木が吸収して循環するため、全体としての二酸化炭素量は増えません。木材は、化石資源や鉱物資源と違って、再生可能な材料であり、適切な管理をすれば、持続的・永続的な供給が可能なのです。
 身近な森林が、地球温暖化防止に役立つよう、皆さんも、地元の木材を多く使い、木造住宅や木製品を長く使うようにして下さい。 
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