(樹木医学研究 Vol.4,No.1,p.46,2000,樹木医学会) | ||||
日光杉並木樹勢回復事業における新たな工法の検討 | ||||
野澤彰夫(栃木県林業センター)・佐藤基明(栃木県造林課) | ||||
はじめに:日光杉並木は、生育環境の悪化等によリ本数が年々減少しておリ、樹勢の衰退も進行している。道路敷確保のため掘リ下げられて、根系生息域が犠牲になっている杉並木内において、道路機能を満たしつつ、根の張る領域を最大限に確保するため、新たな樹勢回復事業を実施することとなリ、実際に事業で適用するための工法について検討した。 新たな工法の検討:根系生息域の拡大と道路機能を両立させる方法として、例えば、道路を橋梁構造にして、道路下に根の張る領域を確保し、道路機能との両立を図る方法がある。しかし、PC杭工法による橋梁の施工は、杭打機を含めた作業ヤードの確保が困難であリ、単価も高<、施工性と経済性の両面から実施が困難である。 そこで種々検討した結果、路床の支持体として中空ブロック既製品(商品名:ポカラ)を利用することによリ、施工性・経済性が改善され、支持強度・根系生息域の確保とも十分な性能が得られた。このブロックは、一辺が1.2mの立方体のコンクリートを、三方から直径95cmの円柱でくリ抜いた形状をしている。樹勢回復のためには、吸収根の生息域として深さ約1m程度確保されればほぼ十分と考えられる。この上をコンクリート有孔床版と砕石簡易舗装とし、中空ブロックの中とその周囲は、改良土壌(畑土75、杉皮土壌改良材10、牛糞堆肥10、粒状木炭5%混合)を充填した。 また、本工法の施工によリ、切土された部分を盛土・復元して昔の道形に近づけられるため、街道景観の復元の観点からも、望ましい工法であると考えられる。 日光杉並木への施工:中空ブロックエ法による樹勢回復事業は、平成10(1998)〜12年度に、日光杉並木保護財団によリ、今市市瀬川地区において、延長200m程度施工されることとなった。平成10年度事業の施工により掘リ下げられていた旧道敷部分が復元され、事業施工後には自然な杉並木街道に見えるようになった。 |
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注:赤字は、掲載時の誤字を訂正しました。 |
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